ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝ー永遠と自動手記人形ー
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝ー永遠と自動手記人形ー」を観てきました。今回はその感想、レビューです。
ネタバレあります。
あらすじ
……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。
良家の子女のみが通うことを許される女学校。
父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、
白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、
教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。
感想【ネタバレあり】
まず簡潔に感想をいうならば、「美しかった」です。
とにかく「美しい」「綺麗」という言葉がとても似合う作品。もう少し言葉を選ぶとすれば「清純」、「風光明媚」。
地上波アニメの時にも思いましたが風景、背景が細かくて美しい。そしてヴァイオレットたち人物の一挙手一投足すべてが丁寧に描かれ美しいのです。
目が離せないとはまさにこのこと。
とても素晴らしい作品でした。
よかったところその１：時間経過
外伝は戦争から4年が経過しているため、時間が経過したことを伝える場面が数多く、そして丁寧に描かれているところが良かったです。エッフェル塔の建設や、電話をかけるシーン、電灯がつくシーンなど復興もかなり進み、CH郵便社の自動手記人形の部屋でアイリスたちが言っていた「新時代」という言葉がとても似合う。
公開が延期された劇場版の特報の中で「手紙は電話へと変わり」といった言葉もあり、外伝の中でベネディクトが電話を使っているシーンは新時代が近づいていることを如実に教えてくれます。地上波アニメと劇場版をつなげる作品としてこの外伝は必要不可欠ですね。
またヴァイオレットがマンションに導入されたエレベーターのことを「新兵器」と呼んでいるのも戦争が終わり、今の時代の兵器は人を殺さない、人々の生活を便利にする機械だという伝え方も良かったです。うまく扱いきれず階段を使った方が早いというオチも良き。
時間経過はヴァイオレットについても同じで、軍人として、兵器として生きてきた彼女は多くの訓練をして常人ではない身体能力を獲得していますが、外伝の中でイザベラの手を夜通し触れ見守っていた翌朝にヴァイオレットがあくびをしていました。
あくびなんてするのは当たり前かもしれませんが、ヴァイオレットからするとそういった普通の人の行動をするようになったのです。喋りは相変わらず単調ですけれど、命令がなくても生きていけるといったヴァイオレットの成長？が見られて嬉しかったです。
よかったところその２：ベネディクトの黄色のバイク
外伝のベネディクトの服装はオシャレさが120%アップしていて、その靴のひらひらどうなってるの？とかシャツの背中にある編み込みなんですか！？と聞きたいところが多かったのですが、今思うと後ろ姿を印象的にするための服装なのかなと。靴もシャツも後ろのデザインが凝っていてテイラーがベネディクトの後ろ姿を追うっていうシーンにベネディクトらしいオシャレさが出ていたように思います。
そしてベネディクトが社長に頼んで購入してもらった黄色のバイク。ベネディクトのオシャレさは以前から分かっていたつもりですがここで黄色を選択するところがとてもよかった。
色彩設計的にはきっと「新時代」に対する「希望」であったり、「幸福」を強く訴えたい配色なのかなと思います。ベネディクトの子どもっぽさも相まって黄色のバイクが似合うってのがまた良いですね。
今作に限らず京アニが生み出す作品の色彩はどれをとっても作品にマッチしていて、この外伝でも世界観が伝わるその色彩美は見ていてきれいです。
よかったところその３：姉妹の愛
今作のメインキャラクターであるイザベラとテイラー。離れ離れになってしまった二人は会わずともお互いのことを思っている姿は愛おしい。
ヴァイオレットはイザベラの時は教育係、そしてテイラーの時は郵便配達人見習いの手伝いとして傍にいる。イザベラと風呂に入れば、テイラーとも入り、イザベラの髪を結べばテイラーの時も結ぶといった場面の対比がとてもよかったです。
またテイラーに文字を教えるといったヴァイオレットの優しさも本当に美しい。
おわりに
1月には劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンが公開予定でしたが諸々の都合で公開延期されました。劇場版はこの外伝からさらに月日が経った話と推測されますが、きっと劇場版には成長したテイラーが出てくるのでしょう。いつ公開されるか分かりませんが待ちます。待ち続けます。
