TVアニメ「風が強く吹いている」21話では箱根駅伝6区を走るユキの姿がありました。
6区は山を下るコースですが、走りながら山を下るその速度は平地よりも幾分早くなります。その速さに自分自身でも驚くユキ、そしてこの速度でいつも走っているカケルの背中を霧の中に見てしまうユキ。完全に箱根に呑まれている状態ですが、ユキはカケルの背中を見ながら語り掛けます。
「なあカケルよ。あんまり遠くへ行くな。お前の目指す場所は美しいよ。でも寂しすぎる。生きた人間には到底耐えられないほどに。」
カケルの目指す場所は美しい。どうしてユキは「美しい」という言葉を選んだのか。それは自分には合わない世界といった意味合いが含まれているのかなと思っていましたがこんなツイートを発見。
美について調べたら脳科学のことが出てきて「美的経験」がその脳を育てるらしい
— おぢさん (@duuuungo69) March 17, 2019
で、その美的経験は欲望とは無縁のところにあって、好みの絵画とか美人をみたときに「欲しい」と思うことではないらしく、、「好みであるが欲しない」という状態が「美しい」と感じてる状態らしい ホォン・・・
「好みであるが欲しない」という状態が「美しい」と感じてる状態。
最初は走ることに拒否感を示していたユキですが、気づけば走ることに本気になっていて、トレーニングメニューについてハイジと話すほどにまでなりました。ユキは走ることをいつの間にか好きになっていたのだろう。
それでもカケルの速さには到底追いつくことはできない。走ることは好きだがカケルまでの実力を得ることはできないというあきらめ、そしてあこがれがどこかにあったのかは分からないけれど、「早く走る」ことをユキは強く欲することはなかった。だからカケルの世界を「美しい」と表現し、自分はそこに行けないと考えた。
そして7区を走るニコチャン先輩。ニコチャン先輩は走る行為全体を「美しい世界」と表現し、自分には美しすぎると、走るのは箱根で終わりと決意した。
ニコチャン先輩にとって走る世界はとても美しいもの。走ることは好きで愛している。しかし身体の適正には合わない。
ニコチャン先輩は走ることが好きだし、きっと走ることを欲していることだろう。そうして掴んだ箱根の舞台。ニコチャンは走ることを楽しむと同時に、自分にこの世界は合わないことを実感してしまったのだろう。
だから「美しすぎる」と表現した。
美しいとはなんなのか。個人的経験が強いものだけど、箱根を走る二人の姿ははっきり言える。美しい、と。