AnimeColor

アニメ・フィギュアをたっぷり楽しむブログ

ゾンビランドサガだからできた昭和アイドル紺野純子VS平成アイドル水野愛

2019/8/18改編

2018秋アニメの『ゾンビランドサガ』。

ポスターもPVも謎だらけでどういった内容かを伏せて放送された第1話でまさかのゾンビアイドルものであることが明かされ話題沸騰。ゾンビたちが人気アイドルになる成長物語を描いた作品で、コメディ要素多めのゾンビランドサガ

そんなゾンビランドサガに登場するゾンビアイドルグループの名は「フランシュシュ」。

主人公の源さくら以外の6名には「伝説の○○」と異名があって、今回注目したいのが「伝説の平成のアイドル」水野愛と「伝説の昭和のアイドル」紺野純子の二人。

ゾンビランドサガ」に登場するゾンビの彼女達は基本的に生前の記憶を持ち合わせています。そして平成のアイドル水野愛、そして昭和のアイドル紺野純子は自分がどうして亡くなったのかも認識しています。

そして第6話では、平成のアイドル愛と昭和のアイドル純子の意見が対立して仲たがいする回が描かれました。

ゾンビアイドル「フランシュシュ」はいままで営業やゲリラライブ、CMやイベント出演などアイドル活動をしてきました。そして第6話ではチェキ会をすることになった「フランシュシュ」。平成のアイドル愛や愛と同じ時代に生きたさくらはチェキ会という文化を理解しています。

しかし昭和のアイドル純子はチェキ会を受け入れることはできませんでした。

f:id:aritsuidai:20190818202050j:plain

昭和のアイドル純子のアイドル観は「ブラウン管とお茶の間の間には境界線がある」と語っています。また愛がデビューして1年で2万人の前でライブをしたというと、「たった1年で2万人」と驚いていました。純子からすれば完璧な姿でファンの前に立つことがアイドルとして義務の一つなのでしょう。

私は昭和のアイドル事情にそこまで詳しくはありませんが、昭和のアイドルというと偶像崇拝的なところがあった節があると思いますし、そもそもアイドルの数が少なかったことから昭和のアイドルは絶対的な存在があったように感じます。

対して平成のアイドルはAKBが「会いに行けるアイドル」とうたい人気となりましたが、ファンとアイドルの境界線は薄くなり身近な存在となりました。アイドルグループの数も多く、絶対的な存在というのはあまりないように思います。

また、昭和のアイドル純子はソロでやっていましたが、平成のアイドル愛はグループに所属してセンターを務めていました。

そうしたソロのアイドル活動とグループのアイドル活動にもズレがあるのでしょう。

昭和のアイドル純子はどうにも今のやり方を完璧に受け入れるかというとそうではない様子です。

同じく昭和に生きた二階堂さきはアイドルがどんなものかをよく知らないからこそ、受け入れられる節があると思い、描かれてはいないけれど対比が効いています

ゾンビアイドル「フランシュシュ」のメンバーの一人には幕末に生きていた伝説の花魁ゆうぎりさんがいますが、150年後の世界と言われて「全てをあるがままに受け入れるしかありまへん」みたいなことを言っていました。チェキ会も見事に受け入れ花魁としてファンを魅了していました。

でも純子からすれば30年ちょっと。

30年で世の中が大きく変化したことを純子も理解していますが、昭和の時代にトップアイドルとして活躍してきた純子から見れば今の平成アイドルには違和感を持つのは仕方ありません。

そうした想いが爆発し、第6話では愛と純子の関係にひびが入っていきます。

また第6話では愛と純子の死因が判明。愛は野外フェス中に雷に打たれて死亡、純子は飛行機の滑落事故で死亡とそれぞれトップアイドルとしてこれからという時になくなっています。

そうしたこれからのアイドルとしての活躍を奪われた二人はゾンビとして復活し、最初は初心者たちとアイドル活動なんてと思っていましたが、やるからには本気でやるからと、もう一度トップアイドルとして上に行くんだという想いを胸に他のメンバー達を引っ張っていきます。

 

平成と昭和のアイドルを比較して語る時、どうしても問題となるのが時代や時間の存在。

昭和アイドルを語るとき平成アイドルは生まれていない人が多いから平成アイドルからしたらピンと来ないでしょうし、平成アイドルを語れば昭和アイドルだったおば様方の意見がどこか上から目線に感じたりするもの。

そうした時間軸を取っ払って平成と昭和のアイドル観を見事に表現しているのがゾンビランドサガであり、この第6話なのです。

 

愛は2008年に亡くなり、それから10年後の2018年がゾンビランドサガの舞台となっています。10年でも変化はあるでしょうが基本的に平成のアイドル観の延長線上。

純子は昭和の価値観しか持っておらず、平成のアイドルがどう生まれどう活動してきたのかを全く知りません。

そうした昭和のアイドルである純子が昭和のアイドルしか知らないからこそ、平成のアイドル愛との対比が本当に面白く、また考えさせられる。

 

ゾンビだからこそできるといっても過言ではない平成と昭和のアイドル観のすれ違いやぶつかり合い。第7話で決着を見せるのか非常に楽しみなのでみんなも見てください。

 

© ゾンビランドサガ製作委員会